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シャチハタ印とは

シャチハタ印とは

公開日:2022.5.23 最終更新日:2024.11.2 書類に氏名を記入したら、横に印を押す箇所があり「シャチハタ印不可」との注意書きがありました…。使用している自分の印鑑が『シャチハタ印』なの!?と悩まれた方も多いのではないでしょうか? 印鑑の違いをしっかり説明できる人はどれくらいいるでしょうか?ここでは何を『シャチハタ印』と呼ぶのか、解説していきます。 シャチハタ印とは 「シャチハタ印」とは何でしょうか?そう質問されると、「スタンプ台や朱肉を使わずにポンポン連続して押せるハンコ・スタンプ」と答える人が多いのではないでしょうか?それ、半分正解で半分間違いです。そもそも「シャチハタ印」という商品は存在していません。 「スタンプ台や朱肉を使わずにポンポン連続して押せるハンコ・スタンプ」は何!? 正しくは「インク浸透印」と呼びます。これは1970年に開催された日本万国博覧会(70年大阪万博)のスタンプラリーで「シヤチハタ株式会社」が開発した製品が使用され、その結果、全国に広まったからだと言われています。そのとき「シヤチハタ株式会社が作ったインク浸透印」が「シャチハタ印」となったわけですね。 takato marui - originally posted to Flickr as Korean Pavilion, CC 表示-継承 2.0, https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=10114600による ちなみにシヤチハタ株式会社の「ヤ」は小文字表記ではありません。 このことを踏まえて「シャチハタ印(浸透印)」と印鑑の違いを解説する前に、一般的な「シャチハタ印(浸透印)」の製造方法を確認したいと思います。 どうやって作っているの? 「シャチハタ印(浸透印)」はスタンプ台や朱肉を使わずにポンポン連続して押せるという大きな特徴を持っています。ではこのような特徴はどのようにして得られるのか確認していきたいと思います。 塩が肝心! 「シャチハタ印(浸透印)」の秘密は文字部である「印面」部にあります。この印面部は軟質のゴムが主な素材ですが、超微細な穴がつながった連泡体になっています。この超微細な穴によってインクが、毛細管現象を利用して留まっているため連続でポンポン押せる特徴が得られています。 ではこの「超微細スポンジ体」をどのように作り出しているのか?その最大の立役者は意外にも「塩」なのです。塩を「つぶつぶ感」がまったくない超微細サイズにまで粉砕してゴムに混ぜたベース材を作製します。そのベース材をプレス加工やレーザー加工でハンコ部を成形・熱湯で塩を溶かすことで「超微細スポンジ体」が出来上がります。 古くはアメリカで発見された特許技術を、シヤチハタ株式会社が日本国内で初めて商品化したことも言われています。 シャチハタ印と印鑑の違い このように作られるシャチハタ印と一般的な印鑑、どのような違いがあるのでしょうか? 硬い印鑑、柔らかいシャチハタ印 微細スポンジ体であるシャチハタ印は「インク浸透印」の文字通り、文字部が紙面に押しつぶされることで内部のインクを吐出します。そのため厳密に見ると毎回捺印される字形(印影)が異なります。 一方、「印鑑」は木材や金属材を彫刻加工して文字部を製作していますので、毎回同じ印影を得ることができます。 近年では加工技術や使用インクの改善などでシャチハタ印も鮮明な印影が得られるようになっていますが、この違いが印鑑証明に使用可・使用不可の判断に繋がっています。 合わせて読みたい 認印とシャチハタの違いは?シャチハタ使用不可となる場面を解説 見落としがち!?インク補充方法 インクを含浸してキレイに捺印できるシャチハタ印ですが、インクが不足すると鮮明な印影を得ることができなくなります。 メーカーによると、半日(12時間)ほど放置した後、はじめて捺印した印影が極端に薄いと感じたときにインクを補充するようにアナウンスされています。 これは、一度に連続してポンポン捺印すると文字部表面のインクが瞬間的に薄くなります。しばらく時間が経過すると印面ゴム内部からインクが染み出してきて回復することがあるため、本当にインクが枯渇しているのか確認する目的で「半日(12時間)ほど放置」するようにアナウンスされています。 表から と 裏から インクを補充する方法として2タイプのグループに分かれます。「ゴム印面の文字部が加工されている表面に直接インクを供給する方法」と「ゴム印面の裏側からインクを補充する方法」です。双方にメリット・デメリットがあります。可能なら購入前に補充方法はどのタイプなのかを確認してみてください。 ゴム印面の文字部が加工されている表面に直接インクを供給する方法 文字部を上にしてゴム印面にインクを1〜2滴補充してインクが馴染むまで放置します。 インクが印面内部に浸透していくまで安定な場所に放置しておく必要があり、インクが浸透していく状況を目視確認することができます。当然ながら含侵直後では捺印することができませんが、印影回復までの時間が短いのが特徴です。 ゴム印面の裏側からインクを補充する方法 製品の持ち手(柄)を外して、印面裏部からカートリッジやインクを直接補充する方法になります。インクが文字部表面にまで行き渡るまでの回復時間が必要で5〜6時間ほどかかる場合もあります。一方、補充したインクが逆流しないように製品を横倒しにしなければ補充後でも製品を使用し続けることが可能です。 双方ともインクを直接補充した場合、補充したインクが漏れ出さないように注意する必要があります。 合わせて読みたい インクを補充しても薄い!補充する時のコツや解決方法を解説 意外な落とし穴…メンテナンス方法 便利な「シャチハタ印・インク浸透印」ですが、当然ながらメンテナンスを行わないと最悪の場合、使用不可能な状態に陥ることがあります。 ・文字部にホコリの膜が… キャップをしていても、捺印する紙面の「紙粉」や周りを漂う「ホコリ」がインクで濡れた文字部に付着していきます。意外な物で印刷物の「インク・トナー粉」や、印紙や封印に使用した「未乾燥の糊」が付着して硬化して積層していくことがあります。インクを吐出するシャチハタ印ですので、ホコリなどの被膜で覆われると鮮明な印影を得ることができなくなります。製品の取扱説明書に明記されているように先端が柔らかい綿棒などでふき取るなどしてクリーニングを行う必要があります。 ・浸透印もゴムだから… 脆くなって砕けてしまった古い輪ゴムを見たことがあるかと思います。シャチハタ印の印面部も合成ゴムなどを主原料としています。そのため、真夏の高温になった車中や部屋、真冬の極寒状態に放置などするとゴムの安定性が崩れて固く硬化したり文字部が脆くなるなど不良化することもあります。 ・専用インクを補充して! 「シャチハタ印・インク浸透印」を製造販売しているメーカーは シヤチハタ株式会社 以外にも、サンビー株式会社や谷川商事株式会社、株式会社タイヨートマーなど多くメーカーがあります。 それぞれのメーカーごとにインクの特性や成分が異なるので、ご使用の商品に適した「専用インク」を使用して補充しないといけません。同じメーカーでも商品ごとに特製の異なるインクを展開している場合もあります。ご使用されている商品に適したインクを付属している「取扱説明書」や、各社webサイトなどに掲載されている「インク補充の案内コーナー」をしっかり確認して補充するようにしてください。 このように取り扱いに注意頂くことで鮮明な捺印を継続して使用できる「心強い相棒」になってくれます。

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印材の種類

印材の種類

公開日:2022.5.23 最終更新日:2024.11.2 いざハンコを作ろうとしたら、店員さんに「印材は何にしますか?」と聞かれて戸惑うことがあります。そもそも印材って何?そのあたりから解説してみたいと思います。 印材とは 字面を見るとイメージが付くかと思いますが、「印章」を彫るための「素材」を「印材」と呼びます。古くは動物の骨や石などが使われていました。現在では耐久性が良いとされる「チタン」などの金属や、安くて強度があることで普及したプラスチックなど、いろいろあります。今回は、特に人気のある印材をセレクトして、特徴や印材の作り方などをご説明させていただきます。 本柘 伊豆諸島、鹿児島、東南アジア等に生育する柘植の木を加工して印鑑材料としたものです。年輪が非常に細かく彫刻に適しています。印鑑素材の中で最も安く、広く普及している素材です。 実印や銀行印、認印など広い用途で用いられており、印鑑を買う際に必ず候補に上がるほど有名な印鑑素材です。特に生産地が鹿児島県のものを「薩摩本柘」というブランド物の印鑑です。薩摩本柘は、実印や銀行印さらには法人用印鑑としても人気で、高級品と言われる割には、低めの価格で流通しており、安価で良質な印材として有名です。 黒水牛 東南アジア等で家畜として飼育されている水牛の角から作った真っ黒い印鑑です、一般的な印鑑として広く用いられています。黒さを引き立てる為の染め加工と、ひび割れ防止の為の加工がされている印鑑素材です。自然素材なので1つとして同じ模様の印鑑はありません。 また、黒水牛は耐久性にも優れていてとても丈夫です。特に、角の芯に近い部分は高級品として有名です。ただし、管理には少し注意が必要です。黒水牛の主成分はタンパク質です。そのため、乾燥や虫食いに注意しなければなりません。しっかりとケースにしまって保管するなど、ちゃんとお手入れをしていれば長い間つかうことができる素材です。 さらに、捺印性に優れているのも特徴。黒水牛の印鑑は朱肉のツキが良く、印影がきれいで押しやすい印鑑です。 象牙 アフリカ象の牙を加工して作られた印鑑です。象牙は古くより、装飾品、三味線のバチ、琴のツメ、パイプ、玉突きの玉などに使用されていますが、印鑑の材料としても細かな彫刻に適し、印肉の捺印性が良く、対摩耗性にも優れた印鑑の高級品です。 象牙は、真っ白よりも少し黄色みがかった落ち着きのある色合いで、 控えめな牙の模様がとても味わい深く、使えば使うほど艶が出てきて深みが増します。 牙の部位の中でも、印鑑に使われる部分は耐久性が高く、耐摩耗性にも優れているため、象牙印鑑は印面の欠けや磨り減りが起こりにくいという利点があります。そのため、象牙印鑑は、丁寧に扱えば一生ものとして使える丈夫な印鑑です。象牙が実印などに向いているのは、この優れた耐久性も理由の1つです。 高級素材として有名な象牙印鑑ですが、実は象牙の部位によってランクが分かれています。一般的な象牙印鑑のランクは、中心部分から順に「中心層」、「中皮層」、「外皮層」の3つに分かれます。この中でも最高級品が「中心層」の象牙印鑑。次に、「中皮層」、「外皮層」と続きます。 なぜ、象牙印鑑がこのようにランクが分かれているかというと、部位によって耐久性と希少性が違うためです。基本的に象牙は、中心部に近いものほど、高い繊維密度で目が細かく、密度が高いため丈夫です。さらに、「中心層」の印材は、1本の象牙から1〜2本しか取れず、希少価値があるので、高いランクになっています。 牛角(オランダ水牛) オランダ水牛は、飴色・クリーム色で透明感のあるボディが特徴。なめらかで落ち着いた色合いがとてもおしゃれで、独特の高級感を放っています。実用面でも他の角・牙素材の印鑑と同じような性質を持ちます。 まず、オランダ水牛は耐久性が高いのがポイント。しっかりとケースに入れて保管すれば、長いあいだ使用できる丈夫な印鑑です。また、朱肉のツキがよく、捺印性が高いのも特徴。手になじみやすく、持ちやすいので、きれいな印影がしっかりと押せます。ただし、主成分がタンパク質なので、管理には少し注意が必要です。 乾燥に弱いので、剥き出しのまま、直射日光に当たるところに放置するのはやめましょう。また、虫に狙われるので、タンスなどにしまう際は、防虫剤と一緒に保管するように心がけてください。 琥珀 琥珀は、印鑑素材としてはとても有名な印材。特に女性の方に人気で、実印や銀行印といった大切な印鑑用に購入される方が多くいらっしゃいます。その美しさは太陽の石や人魚の涙などとも呼ばれる程。その美しさの一番の要因は特徴的な黄褐色です。 高級素材として知られており、印鑑の中では本象牙と肩を並べる存在でもあります。一見、鉱物に見える「琥珀」ですが、実は植物から生成される宝石なのです。 樹木の樹脂が長い年月をかけて固化することで美しい琥珀へと変化します。そのため、大量生産できないので、希少価値が非常に高い素材なのです。樹脂が固まる段階で不純物が少なければ少ないほど、透き通った透明感が美しい琥珀ができ上がります。反対に葉や花、古代の昆虫などが固化の段階で混じり、不純物が多い状態になると特徴的な模様が浮かび上がり、色に深みが増します。 このような生成過程の特徴から、世界に同じものが1つとして存在しないことも魅力だと言えるでしょう。主な産地は北ヨーロッパのバルト海沿岸。そのため、ヨーロッパでは古くから宝飾品として人気が高い素材でした。 琥珀の印鑑はまるで宝飾品のような美しさを持っています。この美しさこそが最大の特徴であり魅力なのです。琥珀はパワーストーンとしても人気が高い素材です。ストーンと呼ばれていますが、正確には木の樹脂が長い年月を経て石化したものですから、鉱物ではありません。ですが、美しさ、強度共に宝石と比較しても遜色がないため印鑑の素材としても使用されています。 近年では、化学樹脂と天然琥珀を合成して出来た琥珀印材もあります。 チタン 数少ない金属素材の印鑑であるチタン。人気の秘密は、そのクールでスタイリッシュな見た目と、チタンならではの耐久性や機能性にあります。 実印や銀行印は一生使い続ける大事な印鑑です。破損したりすり減ったりして使えなくなってしまった場合、再度購入し面倒な再登録手続きも済ませなければいけなくなるので、素材選びから慎重にならなければいけません。 その点を踏まえて、チタンは傷がつきにくく、トップクラスの耐久性を誇る印鑑素材で実印や銀行印などの用途にも最適な印鑑です。法人や経営者の中でも実印として用いる方が多くいらっしゃいます。 印鑑の中では珍しい金属素材の「チタン」。他の印材に比べて、傷や破損のリスクが圧倒的に少ないのが特徴です。 最も多く販売されているポピュラーな「ブラストチタン」であれば、特殊な表面加工をしてありますので汚れがつきにくく綺麗なまま使い続けることができます。まさに、一生ものの実印や銀行印にふさわしい素材であるといえます。 朱肉の付きが良い印材に「象牙」がありますが、チタンは象牙に匹敵するほどの捺印性を持っています。これは、チタンは元々超微粒子で密度が高く、適度な量の朱肉を吸着するという性質があるためです。また、加工が難しい素材で精密機械を使って彫刻するため、細かく美しい線に仕上がり、綺麗な印影が残せます。 合わせて読みたい チタンの印鑑はなぜおすすめ?デメリットについても解説! 印材の価格 好みの印材が見つかりましたでしょうか?最後に、印材の価格についてご説明させていただきます。 同じ印材でも価格が大きく違うものがあります。印鑑材料メーカー、印材問屋さんの方で分けられているもので 「クラス」毎に異なった価格で供給されています。例外はありますが、これらは元になった個体品種の違いではありません。印鑑の形に加工した後、目視にて均質性や、色、希少性などにより分けられています。このため1本の材料から切り出し作られた印鑑にも「高価格なもの」から「安く供給されるもの」が混ざります。また、目視(官能検査)で分けられるため全ての人の嗜好に合うものでもありません。印材によっては模様の出かた、色合いが大きく異なりますので、気になる方は店頭で現物を確認してお選びになったほうが良いかと思います。 大切なシーンで使うハンコです。しっかり吟味して選んでくださいね!

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