社判と社印の違いとは?実務で役立つ押印ルールを紹介

社判と社印の違いとは?実務で役立つ押印ルールを紹介

公開日:2023.6.5 最終更新日:2024.11.1

会社で使用する印鑑には、いくつか種類があります。しかし、「社判」と呼ばれたり「社印」と呼ばれたりしていて違いがわからず、困っている人もいるのではないでしょうか。

また、会社実印や銀行印、ゴム印など種類が多いうえに、押し方にもいろいろあり、それぞれの印鑑の違いや利用シーンがわからない人もいるでしょう。

そこで今回は、社判と社印の違いや社判の種類、社判の正しい押し方などについて解説します。

社判と社印の違い

 

「社判」と「社印」は字面が似ているため、「違いがよくわからない」「同じものでは?」と思う人も多いでしょう。社判と社印は同じ印鑑を指す言葉ではなく、以下のような違いがあります。

    •  社判:会社で使う印鑑の総称
    •  社印:会社名を彫った四角い印鑑(角印)

つまり、社印は社判の一種です。ただし、社判・社印の定義は会社によって異なる場合があります。

また、社判にはさまざまな種類があり、書類によって押すべき社判の種類が異なるケースがあります。どの社判を押すのが適切かを事前にしっかり確認しておきましょう。

会社で使う印鑑(社判)の種類

社判には大きく分けて、「会社実印」「銀行印」「社印」「ゴム印」の4種類があり、それぞれデザインや用途が異なります。押し間違いを防ぐためにも、それぞれどのような印鑑なのかを覚えておきましょう。

会社実印

会社実印とは、会社名と代表者名が彫り込まれた丸形の印鑑のことです。「代表者印」「丸印」などと呼ばれることもあります。

法人登記の際に法務局で印鑑登録を行い、重要な契約を締結するときに用いる、会社にとって非常に大切な印鑑です。

一般的にサイズは18mm以上で、外枠には会社名、内枠には「代表取締役印」などと彫り込まれます。また、複製を防止するために、複雑なデザインにされていることが一般的です。

銀行印

銀行印とは、法人用の銀行口座を開設するときに、届出印として使用する印鑑です。手形や小切手を振り出すときなど、金銭のやり取りの際にも使用します。

会社実印と同じく丸形で、外枠には会社名、内枠には「銀行之印」と彫り込まれるのが一般的です。

会社実印を銀行印として使用することもできますが、会社実印と銀行印を併用すると紛失・盗難などの被害に遭ったときのリスクが上がります。

また、会社実印は原則として会社の代表者しか使用しませんが、銀行印は経理担当者なども使用することがあります。トラブル防止のためにも、会社実印と銀行印は分けておいた方が良いでしょう。

社印

社印とは、会社が発行する文書に使用する印鑑のことです。「角印」「認印」などと呼ばれることもあります。角型の印鑑に会社名のみが彫られていることが多く、会社実印や銀行印と比較してデザインはシンプルです。

契約書など重要度が高い書類には会社実印、見積書や請求書、領収書といった比較的重要度が低い書類には社印と使い分けている会社が多いでしょう。

ゴム印(住所印)

ゴム印(住所印)とは、手書きでは時間がかかる事務作業の効率化を目的に使用されるゴム製の印鑑です。

会社実印や銀行印は、素材に木材や象牙などが使用されることが多いですが、ゴム印の土台にはアクリルやプラスチックなどが使われることもあります。

ゴム印はデザインの自由度が高く、細かな文字も印字可能です。そのため、多くの会社が住所を印字した「住所印」、年月日を印字した「日付印」など、さまざまなゴム印を活用しています。

必要に応じてゴム製のスタンプ部分を取り替えて使用できる、利便性の高いゴム印もあります。

契約書にはどの社判で押印すれば良い?

社判にはさまざまな種類がありますが、契約書に押す印鑑について法的な決まりはなく、どの社判を押印しても構いません

ただし、重要な契約書には印鑑登録をしている社判を押印した方が良いでしょう。印鑑登録をしている社判であれば、契約締結の場に立ち会った本人が押印したことが証明しやすいためです。

もし契約書の種類や内容によって押すべき印鑑が決まっている場合は、登録済みの印鑑を押すことにこだわりすぎず、そのルールに従いましょう。

実務で役立つ社判の押し方

社判は「契印」「割印」「消印」など、押し方にもさまざまな種類があります。押し方の種類が多いので、それぞれの意味や正しい押し方がわからない人もいるのではないでしょうか。そこで、社判の押し方の種類と意味、正しい押し方についても解説します。

契印

契印とは、契約書が複数に渡る場合に、抜き取り・差し替えが行われておらず、各ページが問題なく連続していることを証明するために押すものです。

契約書のページ数が少ない場合は、全ページで見開きの両ページを跨いで、甲乙それぞれが押印します。

ページ数が多い場合は全ページに押印するのが大変なので、契約書を製本テープで袋とじにし、契約書と製本テープを跨いで甲乙それぞれが押印するのが一般的です。

契印に使用する印鑑には、署名欄に使用した印鑑と同じものを使用しましょう。同じ印鑑を使うことで、当事者が今回の契約を承認した証明になります。

割印

割印とは、同じ契約書を複数枚作成した場合に、それぞれが同一の書類であることを証明するために押すものです。

契約書の原本と写しをずらして並べ、各契約書を跨いで押印します。領収書のように切り取り線がある場合は、切り取り線を跨いで押印しましょう。

割印はあくまでも契約書が同一のものであることを示すものなので、署名欄に押印した印鑑とは異なる印鑑を押してもかまいません。

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消印

消印とは、収入印紙の再使用防止のために押すものです。契約書と収入印紙を跨いで押印し、使用済みの収入印紙であることがわかるようにします。

割印と同様、消印も署名欄に押印した印鑑とは異なる印鑑を使用しても問題ありません。また、契約当事者全員が消印を押印する必要はなく、誰か1人が押すだけで消印と認められます。

印鑑以外では、氏名や商号などのサインでの消印も可能です。ただし手書きで「印」と書いただけでは消印と認められません。書き方に悩む場合は、印鑑を使用した方が良いでしょう。

訂正印

訂正印とは、契約締結後に契約書の内容を訂正した場合に、訂正箇所に押すものです。訂正箇所を2重線で消し、同じ場所に押印します。

文言を追記したり、「〇文字削除、〇文字加筆」など訂正した文字数を記載したりする場合は、訂正箇所の近くに記載し訂正印を押しましょう。

なお、訂正印は署名欄に使用した印鑑と同じ印鑑を使用する必要があります。また、契約書が訂正されたことを承認した証明のために、契約当事者全員が押印しなくてはなりません。

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捨印

捨印とは、契約締結後に契約書の誤りが見つかった場合に、訂正することを認める意思を示すために押すものです。契約書が原本の1部だけしかないときなどに、捨印を押してスムーズに訂正できるように備える目的があります。

捨印は契約書上部の余白に押すのが一般的です。訂正があった場合は捨印の隣に訂正内容を記載します。

なお、捨印は訂正の権限を相手にゆだねるものであるため、安易に押すと重要な項目を書き換えられるリスクがある点に注意が必要です。

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まとめ

似たような響きの社判と社印ですが、社判は会社で使う印鑑の総称、社印は企業名を彫り込んだ四角い印鑑であり、社判の一種です。

社判には社印以外にもさまざまな種類があるため、各印鑑の意味や利用シーンを理解しておきましょう。社印の定義が会社によって異なることもあるので、事前に自社の社印の定義を確認しておくことも大切です。

また、社判は押し方にもさまざまな種類があります。押し間違いがないように、社判の押し方も覚えておきましょう。