訂正印とは?訂正印の正しい押し方を解説

総務の担当者や書類を扱う仕事をしていると、訂正印を押す機会があります。訂正印の存在は知っていても、いざ自分が押すとなると正しい押し方がわからない方も多いのではないでしょうか。今回は、訂正印の正しい押し方や訂正印を作成する際のポイントをご紹介します。

訂正印とは何か?

訂正印は、書類内に記載されている文書の一部を訂正したい場合に用いられます。訂正箇所に印鑑を押して、本人自らの訂正であること、他者による改ざんではないことを示すのが目的です。

重要書類の訂正を行う際には、その書類に関わる契約書に捺印した印鑑と同じ印鑑で訂正印を押します。訂正印として実印を押さなければならないと思っている方もいるかもしれません。しかし、契約書に押されている印鑑が認印なら、訂正印にも認印を使い契約書と合わせておくのが正式な方法です。

これに対し簿記用には、6mm程度の小さな訂正印を使用します。会計帳簿や伝票のような小さなスペースにも訂正印が押しやすいことが理由です。

訂正印の正しい押し方

ここからは、具体的に訂正印の正しい押し方をご紹介します。文書を訂正する際には、削除したり、書き加えたり、数字を訂正したりと、訂正のパターンはいくつかあり、それぞれで押し方が異なるのです。訂正印を押した経験がある方は、自分が間違った方法で訂正印を押していないかをチェックしてみてください。

文字を訂正する

文字を訂正するときは、訂正したい文字に2重取り消し線を引き、正しい文字を2重取り消し線で消した文字の上側スペースに書きます。その後、2重取り消し線上か訂正箇所の近くに訂正印を押すのが基本的な方法です。

スペースの問題で2重取り消し線の上側に正しい文字を書けない場合は、下側に書いても問題ありません。訂正する文字を読める状態にしておくことが大切です。

より丁寧に文字を訂正するのであれば、訂正した文字の横に削除した文字数と追加した文字数も書きます。

例えば、東京都板橋区の「板橋区」の部分を「江戸川区」に訂正した場合は、「3文字削除4文字追加」を記載します。「削除」を「抹消」、「追加」を「加筆」と記載しても問題ありません。

また、訂正するときは「板橋区」のように語句のまとまりを意識しましょう。上記を参考にすると、通常「板橋」だけ訂正すれば良いのですが、語句のまとまりで訂正する方が自然とされているため、「板橋区」の3文字を削除します。

文字を書き加える

本来書くべき文字が抜けていて、文字を書き加えたい場合は、文字の抜けがあるところに「V」を記載します。「V」の上に書き加える文字を書き、その隣に訂正印を押しましょう。

基本的には、書き加えたい文字の上に「V」と追加する文字を記載しますが、スペースがない場合は下に文字を追加しても大丈夫です。

丁寧に訂正する場合には、訂正印の隣に書き加えた文字数を記載し「追加」か「加筆」または「加入」と付けます。

文字を削除する

文書の一部を削除したい場合は、削除したい文字に2重取り消し線を引きます。基本的には、2重取り消し線を引いた上に訂正印を押します。スペースの問題で上に書けない場合は、下側に訂正印を押しましょう。

訂正印の隣には「3文字削除」のように、削除した文字数を書きます。「削除」のほかに「抹消」と記入しても良いです。

数字を訂正する

数字を訂正する場合も、基本的には文字の訂正をするときと同様に訂正したい数字の上に、2重取り消し線を引き、数字の上に訂正印を押します。

金額を訂正する場合は、不正を防止するために、訂正した数字の頭に「¥」を、末に「-」の記号を記載しましょう。

丁寧に訂正するなら、文字の訂正と同様に訂正した文字の横に削除した文字数と追加した文字数を書きます。

削除した文字数と追加した文字数は、「¥」や「,」や「ー」など金額を訂正するときに記載する記号も1文字として数えてください。

縦書きを訂正する

縦書きの文書の場合は、訂正したい文字の上に縦の2重取り消し線を引きます。その右側に訂正する正しい文字を記載し、その下に訂正印を押すのが一般的です。

丁寧に訂正する場合は、横書きの文書と同様に、訂正した文字の横に削除した文字数と追加した文字数も記載しましょう。

削除した文字数と追加した文字数は、横書きで記入します。記入する文字は、「削除」を「抹消」としたり、「追加」を「加筆」と変更したりしても問題ありません。

訂正印を押すスペースがない場合

訂正印を押す場所は、訂正した文字のすぐ横に押すのが一般的です。しかし、書類によっては、訂正印を押すスペースがない場合や丁寧に訂正するときに追加する文字数が書けないこともあります。

そのような場合では、書類の中の空いているスペースに記載しても問題ありません。訂正箇所の近くに押すのが望ましいとされていますが、法律で定められていることではないため、書類に合わせて臨機応変に対応しましょう。

書類に2名以上の署名捺印がある場合

書類を訂正するうえで、気を付けなければならないのは、2名以上の署名や捺印がある場合です。契約書など、複数名が署名しているケースでは、訂正印も全員分の押印が必要になります。

これは、全員が同意のもと、書類が訂正されていることを示すためです。必ず、訂正印を全員分押すようにしましょう。

訂正印を作るときのポイント

ここからは、一般的な企業でよく使われる、会計帳簿や社内書類の修正で必要な訂正印を作るときのポイントを紹介します。訂正印を押さなければならない機会が増えてきているのに、訂正印として使える印鑑がない場合は、ぜひ参考にしてみてください。

訂正印に適したサイズ

訂正印は、印鑑の大きさや形状についてとくに決まりはありません。社内で頻繁に使われる訂正印に関しては、会計帳簿や伝票のように小さなスペースでも使いやすいように6mm程度の印鑑で作るのが一般的です。

訂正印や簿記印、修正印という名前で販売されていることが多いため、既製品を購入する際はチェックしてみてください。

刻印する内容

訂正印として使われる6mmの印鑑には、丸形と楕円型や小判型と呼ばれる少し横幅の狭い形状があります。

訂正印の形状は、好みで選んでも問題ありませんが、社内でよく使われている印鑑の形状と合わせて選ぶのも良いでしょう。

訂正印には、訂正する人の苗字を刻印します。大きなサイズの印鑑では、フルネームの印鑑も作れますが、6mmと小さな訂正印の場合では、スペースの問題から文字数が限られてしまうためです。

訂正印に適した書体

印鑑には、さまざまな書体が使われています。あえて可読性を低くして、偽造しにくい書体も多いです。

しかし、訂正印の場合は、誰が訂正したのかがわかることが重要なので、誰が見ても読める書体にします。

実印や銀行印におすすめされている「吉相体(きっそうたい)」や「篆書体(てんしょたい)」ではなく、「古印体(こいんたい)」や「隷書体(れいしょたい)」など、読みやすい書体を選びましょう。

浸透印か朱肉式か

訂正印で使われる印鑑は、一般的にシャチハタ式と呼ばれる「浸透印」と「朱肉式」の両方が販売されています。

浸透印は、公的な書類の訂正印では使用できませんが、会計帳簿や伝票など社内で使われる訂正印としては使われることも多いです。

朱肉が不要なため連続して押す場合にもスピーディーに捺印できます。押す際にコツもいらないので、誰でも美しい印影を残せるのが特徴です。ただし、浸透印は使用しているうちにインクが少なくなると印影が薄くなってしまうので、インクの補充も必要です。

朱肉式の印鑑は、朱肉を用意しなければならないことや、きれいに押すのに少しコツが必要なこと、連続して押すときに時間がかかることがデメリットに感じるかもしれません。その反面、劣化しにくいため、一度購入すれば長期間使い続けることができるのです。

双方にメリットやデメリットがあるため、特徴を参考にしながら選びましょう。

まとめ

訂正印は、事務作業で押す機会の多い印鑑です。法律で明確な定めはありませんが、書類の訂正で不正行為が行われないように、誰が訂正したかを示す役割を持っています。正しい訂正印の押し方で、書類の訂正を円滑に行いましょう。