もう押印を失敗したくない!上手に印鑑を押す方法とコツ

さまざまな書類で求められる押印ですが、「かすれ」や「にじみ」「ゆがみ」が出て、キレイに印鑑が押せない方はたくさんいます。とくに、重要な書類への押印では、失敗できないプレッシャーを毎回感じながら押印する方も多いのではないでしょうか。

今回は印鑑をきれいに押せるコツやポイントを紹介します。少し意識するだけで、押印の失敗をなくせるので、ぜひ取り入れてみてください。

印鑑のキレイな(捺印)押し方

印鑑をキレイに押すには、いくつかのポイントがあります。押印に苦手意識がある方は多いのですが、準備や朱肉の付け方、姿勢などに気を付ければ、キレイな印鑑が押せるようになるでしょう。

準備するもの

印鑑を押す前に、印鑑と朱肉、捺印マットをセットで準備しておきましょう。必要なものを準備しておくことで、慌てず作業ができます。

朱肉は、印鑑ケースに付属しているものもありますが、布張りの速乾性がある朱肉を別途用意しておくのがおすすめです。ケース付属の朱肉は、メッシュ素材の朱肉が多く、印影にムラが生じやすい特徴があります。

また、朱肉自体も乾きにくく、印影を汚してしまうおそれがあるので、できるだけ速乾性の朱肉を使うようにしましょう。

捺印マットは、キレイな印影を左右する重要なアイテムです。机の上は硬いため、均等に力が伝わりにくく印影がかすれたり、欠けたりするおそれがあります。

また、硬い机の上で押印をすると印面がへこみ、印鑑を長持ちさせられないこともあるのです。

捺印マットがあれば、印鑑への負担も軽減できるほか、均等に力が伝わりやすくなり、キレイな印影になるでしょう。

捺印マットがない場合は、チラシやコピー用紙のような紙を四つ折りにして代用することも可能です。

正しい印鑑の持ち方

印鑑をキレイに押すには、印鑑の上下を確認する作業は必須です。吉相体のような書体の印鑑は上下の判別が難しいため、印鑑によっては上に来る部分に「アタリ」と呼ばれるしるしが付いているものもあります。

アタリがない印鑑は、上下逆押しを防ぐためにも、押印前には印面をしっかり確認するようにしましょう。

印鑑は利き手で持つのが基本です。印面の上に来る部分に人差し指を当て、下側に親指を添えます。そうすると自然と中指は印鑑の側面に来るので、3点で印鑑を支えましょう。ペンを持つようなイメージをすれば、そう難しくはないはずです。

朱肉はつけすぎない

キレイに印鑑を押すために、朱肉の量は重要です。印影がかすれてしまうのを気にして、たっぷり朱肉を付けなければと思う方もいますが、朱肉を付けすぎると失敗します。

たっぷり朱肉が付いた印鑑は、印影がにじみやすいほか、印鑑の材質によっては押したときに印鑑が滑ることもあるのです。

さらに、印影が乾きにくいため、ほかの書類を汚す原因や、押印した書類そのものの印影を台無しにしてしまうおそれもあります。

印鑑を朱肉に付ける際は、軽い力でポンポンと叩くように意識しましょう。朱肉の付けすぎによる失敗がなくなり、印面に対して均一に朱肉が広がるので、印影にムラのない美しい押印が可能です。

また、印鑑ケースに付いている小さな朱肉は、簡易的なため、一般的な朱肉とは異なる材質が使われています。量の調整が難しく、印面に対して均一に朱肉が付きにくい特徴があり、印鑑の目詰まりを起こすことも多いのです。できるだけ、朱肉単体で販売されているものを用意しましょう。

速乾性の朱肉であれば、くっきりとした印影が押しやすく、使い勝手も良いものが多いです。

現在使用している朱肉が古くなっているなら、新しい朱肉への買い替えをおすすめします。古くなった朱肉は、印鑑への付き方が悪くなり、印影がかすれる原因となるのです。

キレイに印鑑を押すのであれば、付け方と合わせて、朱肉の状態も確認しておきましょう。

押す際の正しい姿勢

キレイな印鑑を押すには、姿勢も意識しましょう。印鑑の持ち方で紹介した、人差し指と親指、中指の3点で印鑑を持ち、印面を下にしたら左手を軽く添えます。

このとき、肩甲骨を広げるように意識してください。肩甲骨が閉じた状態だと、無駄な力が入り、印影が歪んでしまう原因になります。

とくに、契約書のような重要書類に印鑑を押す際には、緊張して力が入りやすくなるので、意識的に肩甲骨を広げ、姿勢を正すのが大切です。

正しい姿勢のコツを掴むまで、何度か印鑑の試し押しをしておくと感覚を掴めるでしょう。

押し方のポイント

印鑑を押すときは、押印する書類に対して垂直に押し、印鑑の中心を軸にしてひらがなの「の」を描くように力を入れます。

書類の下には、捺印マットが敷かれているので、重心を少しずつ動かす感覚は掴みやすいでしょう。

紙に対して、印面全体をまんべんなく当てるイメージで押印すると、美しい印影に仕上がります。

詰まった朱肉を掃除する

押印後のメンテナンスも、キレイに印鑑を押すためには重要な作業です。当たり前のことですが、キレイな印影はキレイな印面からしか押せません。

印鑑に朱肉が付いたまま保管するのは避けてください。朱肉が固まって印面が詰まったり、朱肉にホコリや小さなゴミが付着したりしてキレイな印面が保てなくなります。

押印後は、必ずティッシュやガーゼなど、やわらかいものを使用して付着している朱肉を拭き取ってから保管しましょう。

すでに印鑑に朱肉やホコリなどが詰まっている場合は、使い古した歯ブラシなどを利用して、丁寧に除去してください。はんこブラシを使用するのもオススメです。

このとき、力強くこすってしまうと、印鑑の材質によっては文字が欠けてしまうおそれがあります。軽い力で慎重にゆっくり取り除くように心がけましょう。

印鑑を押す位置

印鑑を押す位置は、書類によっても異なります。押印で焦らないためにも、一般的な4つの書類で、押印の位置をマスターしておきましょう。

印鑑証明が必要な重要書類の押し方

印鑑証明が必要となる書類に押印する際は、名前や文字に被らない位置に印鑑を押します。例えば、家や車を買うとき、相続の手続きを行うときに押印する契約書には、実印を使います。このときに押印された実印が本物であるかを確認するために、印鑑証明が必要です。

押印された印鑑が書類の文字に被っていると実印が本物かを見極めるのが困難になり、印鑑証明として成り立ちません。印影がハッキリと確認できる位置に、[かすれ] や [にじみ] が生じないように気を付けて押すようにしましょう。

印鑑証明の必要がない書類の押し方

印鑑証明の必要がない書類は、偽造や複製防止の観点でほかの文字と被るように押印するのが基本です。ほかの文字と被らない押し方でも間違いではありませんが、押印された部分のみを抜き取って悪用されるリスクが高まります。認印でなく実印や銀行印を押している場合は、とくに注意が必要です。

書類の押印箇所には「印」と表記されていることがありますが、必ずしも「印」の上に押さなければならない決まりはありません。セキュリティーの観点から文字と被るように押したい場合は印」の表記からズレたところに押しても良いです。

法人書類の場合の押し方

法人書類では、角印と丸印の2種類の印鑑を使用するケースがあります。角印は社印とも呼ばれる四角い印鑑で、丸印は会社実印や代表印、役職印などがあります。

ひとつの書類に角印と丸印両方を押すことは稀で、多くの場合では、角印か会社実印の丸印のどちらかです。

角印のみを押す場合は会社名の最後の文字の真ん中に印影の中心が来るように押します。記載されている社名の高さと印鑑の高さがちょうど真ん中で一致するように押すと、バランス良くキレイな印影になるでしょう。

丸印のみを押す場合は角印と異なり、文字に重ならない位置に押します。社名や名前の真横に押印しますが、文字の中心と印影の中心が一致する場所に押すのが理想です。

角印と丸印の両方を押す場合は、角印は文字の真ん中に押し、丸印は文字の横の重ならない位置に押します。

領収書の印鑑の押し方

領収書においては、会社名と住所の部分に被るように角印を押します。本来、領収書には押印しなくとも効力がありますが、慣例として印鑑を押して作成することが多いのです。

金額によっては、印紙を貼るケースもありますが、この場合は消印を押しましょう。消印は、印紙と領収書をまたいで認印を押してください。

まとめ

印鑑を押すのが苦手で、押印のたびに緊張する方は多いようです。押印のポイントを意識して、コツさえ掴めば、誰でもキレイに印鑑を押せるようになります。書類ごとの押し方も参考に、失敗しない押印をしてください。