実印って何?印鑑登録する方法と印鑑証明書を取る方法

実印を押印する場面はあまり多くありませんが、大切な契約のときにこそ出番が来ます。また、契約などの場面で印鑑証明を提出するように言われたことがある人もいるのではないでしょうか。

今回は実印とその印鑑登録の方法や印鑑証明書を取る方法について紹介します。

印鑑登録とは?

実印は見た目だけでは認印などとあまり変わりません。大きな違いは、その印鑑を役所で登録しているかどうかです。一般的に役所で登録した印鑑のことを「実印」と呼びます。公的に認められている印鑑なので、信用力が大きいのです。

実印が求められるケース

実印が求められるのは、高額な契約や重要な契約のときがほとんどです。例えば、住宅ローンの契約や保険金の受取などの重要な場面で、「実印」と「印鑑証明書」が求められます。

印鑑証明書は、押印した印鑑が確かに本人のものであることを証明するものです。そのため実印と合わせて提出が求められ、主に重要な本人確認の場面で使用されます。

印鑑登録ができる人

印鑑登録ができるのは、日本在住で16歳以上の人です。15歳未満は制限能力者とされているので、印鑑登録をすることができません。

また、外国籍で日本に在住している人の場合は、自治体に外国人登録をしていれば印鑑登録できます。外国の方の場合は、ファミリーネームやファーストネームなど、どの名前で印鑑登録ができるかは自治体によって異なるので確認が必要です。

実印を作るときに注意すべきポイント

実印はどんなものでも登録できるわけではなく、サイズなどが定められています。ここでは、役所で定められている実印の規定や、作るときに注意するポイントを紹介します。

印影(いんえい)の大きさの規定

印鑑登録できる印影の大きさには規定があります。8mmの正方形より大きく、25mmの正方形からはみ出さないものを用意しましょう。

印影の形の規定

印影の形は特に指定されていませんが、一般的な形は円形です。楕円形や角形などでも登録できます。ただし、印鑑として不適切な形の印影は認められないこともあります。また、枠がないものや枠が欠けているものは認められません。

ハンコの刻印内容の規定

印鑑に刻印する内容は、戸籍上の名前を表すものでなければなりません。苗字のみ、名前のみ、フルネームなどバリエーションは主に3種類となります。漢字の名前なのにカタカナやひらがなに変えた場合は、登録できない可能性もあるので注意が必要です。

実印に適したサイズ

実印に適した印鑑として、男性用が直径15〜18mmの丸印、女性用が13.5〜15mmの丸印がおすすめです。しっかり手にフィットして押印しやすいことが大切なので、手の大きさに合わせて選びましょう。

刻印はフルネーム?名前のみ?

刻印は、男性はフルネーム、女性は名前のみの登録が多いです。

フルネームの刻印は、印影が複雑になるので偽造しにくく、実印としての効力も高いとみなされます。女性は結婚や離婚などによって苗字が変わる可能性が高いので、結婚しても使えるように名前のみで登録する人が多いです。

ただし、名前のみの登録はフルネームの刻印よりもセキュリティ面で劣るので注意しましょう。

実印に適した書体とは?

実印には、偽造のされにくさを考慮して複雑な書体を選ぶと良いでしょう。特に吉相体、篆書体などは模倣しにくいのでおすすめです。また、吉相体は縁起が良い書体ともいわれているので、験を担ぎたい人にも好まれます。

ただし、判読が困難な場合は登録を断られるケースもあるため注意が必要です。

その他の規定

上記以外にもさまざまな規定があります。

実印は1人につき1個までしか登録できません。また、本人確認を目的としているため、すでに別の人が登録している同じ印鑑を使うのはNGです。必ず自分だけが使用する印鑑を用意しましょう。

さらに、印影が変わってしまうのを防ぐために、ゴム印や浸透印など変形しやすい材質も認められません。ほかにも、大量生産された印鑑(=三文判)をNGとする自治体もあります。印鑑証明書は本人確認のための重要なツールなので、規定が厳しくなっているのが一般的です。

印鑑登録の方法・必要なもの

実印を作ったら、印鑑登録をしておいた方が便利です。実印を使う場面では印鑑証明書も必要なので、あらかじめ手続きをしておきましょう。

印鑑登録にはどのような手続きが必要なのでしょうか。ここでは印鑑登録の方法と必要なものを紹介します。

登録に必要なもの

印鑑登録には、登録する印鑑と本人確認書類、登録費用が必要です。本人確認書類はパスポートや運転免許証、マイナンバーカードなど、官公署が発行した顔写真付きの身分証明書を提示しましょう。登録費用は100〜300円程で自治体によって異なるので確認が必要です。

登録の方法

印鑑登録をするには、市区町村役場窓口の備え付けの「印鑑登録申請書」に必要事項を記入し、登録したい印鑑と本人確認書類とともに窓口に申請するだけで完了です。

役所に足を運ぶ必要はありますが、手続き自体は簡単にできます。自治体によって登録できる印鑑の規定が違う可能性があるので、事前に確認しておくと安心です。

印鑑証明を取得する方法

印鑑登録しておくと、今後印鑑証明書が必要になったときには簡単に取得できます。一度登録すればずっと使えるので便利です。実印を使う場面では印鑑証明書がセットで必要になるため、いつでも発行できるように準備しておきましょう。

役所・証明サービスコーナーなどの窓口で発行する方法

印鑑証明書は、役所の窓口でも取得できます。印鑑登録証明書交付請求書を窓口に提出しましょう。マイナンバーカードまたは印鑑登録証、本人確認書類(免許証や健康保険証)、手数料があれば発行してもらえます。どれくらいの手数料がかかるかは自治体に確認しましょう。

コンビニのマルチコピー機で発行する方法

印鑑証明書はコンビニのマルチコピー機でも発行できます。その際はマイナンバーカードと手数料が必要です。また、マイナンバーカードを使うときに暗証番号も必要になるので、しっかり記憶しておかなければなりません。

代理人が印鑑証明書を取る方法

印鑑証明書は、本人がどうしても自力で取得できない場合に代理人でも発行できます。役所の窓口で印鑑登録証を提示して発行してもらいましょう。このとき、委任状は必要ありません。

また、代理人は依頼人のマイナンバーカードを使用することはできないため、コンビニでの発行はできません。必ず役所の窓口で手続きすることが必要です。

【ケース別】実印に関してよくある疑問

引っ越しや紛失、登録した印鑑が欠けてしまった場合は、どうすれば良いのでしょうか。事前に知っておくことで慌てずに済むので、頭に入れておくと良いでしょう。

引っ越しした場合

引っ越しをした場合は、転出届の提出と同時に印鑑の登録が抹消されるため、転居先で改めて印鑑登録を行いましょう。必要なくなった印鑑登録証はハサミを入れて破棄すればOKです。ただし、同じ市区町村内の引っ越しに関しては、登録し直す必要はありません。

紛失してしまった場合

印鑑登録証はカードサイズのものなので、どこかにまぎれて紛失することもあるかもしれません。紛失してしまった場合は、直ちに「印鑑登録証亡失届」を市区町村役場へ出しましょう。悪用されるおそれがあるので、気づいた時点ですぐに手続きが必要です。

欠けてしまった場合

実印が欠けて印影に印影が変わってしまう場合は、印鑑のお彫り直し(=改刻)がおすすめです。欠けた印鑑では実印としての効力を失ってしまうため、彫り直してもらった印鑑で再度登録し直しましょう。

欠けた印鑑を使用すると運気が下がるといわれることもあります。特に大事な実印なのでなるべく早めに新しいものを作りましょう。

まとめ

実印は契約などに使う大切な印鑑です。いざ必要になったときに慌てて作るのではなく、成人、就職、結婚などのタイミングで作っておくと良いでしょう。

印鑑証明書も一度登録しておくといつでも出せて便利です。実印と印鑑証明書はセットで持っておかなければ意味がないため、実印を作ったら印鑑登録も済ませておきましょう。