公開日:2023.6.1 最終更新日:2024.11.1
朱肉と赤のスタンプ台は、色も似ているので間違えたことがある人も多いのではないでしょうか。また、押すときには間違えなくても、インクを補充するときに間違えたり、押してあるものを見て間違えたりした経験がある人もいると思います。
朱肉とスタンプ台にはどのような違いがあるのでしょうか。また、大事な場面で朱肉とスタンプ台を間違えて押印した場合、法的効力はどのようになるのでしょうか。
今回は、朱肉とスタンプ台の違いや法的効力、間違えた場合の対処法について紹介します。
そもそも朱肉とは?
朱肉とは、「朱色のインクをしみ込ませた印肉のこと」を指します。ビジネスシーンで使用されるだけでなく、銀行に行った際に銀行印を押すのにも使用されているので、生活においては身近な存在です。
朱肉について詳しくは以下の記事をご参照ください。
一言に朱肉といっても、朱肉には2種類あります。ここでは朱肉の種類について見てみましょう。
合わせて読みたい
スポンジ朱肉
スポンジ朱肉は、一般的にオフィスや銀行などビジネスの場で使われている事務用朱肉です。プラスチックの容器に入ったスポンジに朱色の顔料を染み込ませたもので、印鑑を軽く朱肉に押し付けるだけで全体に朱肉がつくので誰でも簡単にきれいな印を押すことができます。
また、押した後の速乾性にも優れているので、すぐに書類を重ねても問題がなく、たくさんの書類に押印が必要な場面にもおすすめです。中には3秒程度で乾くものもあり、慣れていない人も使いやすいものが多く販売されています。
練り朱肉
練り朱肉は、顔料と植物油の繊維質(典具帖紙や艾など)を泥状に煉り合せたものです。「印泥(いんでい)」と呼ばれることもあります。
スポンジ朱肉よりも高級感があります。印影が長期間にわたって劣化せず、厚みがあって鮮明に写ることがメリットです。そのため、半永久的な保存が必要な大切な場面で使われます。
一方で、練り朱肉は、押印後に乾くのに時間がかかる点がデメリットです。ほかにも、朱肉のお手入れにコツが必要であったり、高級なものほど腐りやすかったりと、慣れていない人には扱いにくいといえます。
朱肉とスタンプ台の違い
朱肉もスタンプ台も、印鑑に色を付けて紙に押すために使う点では同じように見えますが、朱肉とスタンプ台には大きく違いがあります。ここでは、朱肉とスタンプ台の違いについて、成分、色合い、法的効力の3つの視点から見てみましょう。
成分の違い
朱肉とスタンプ台は、実は成分が大きく異なります。朱肉は油性顔料のみが使用されますが、スタンプ台は、製品によって成分が異なることが一般的です。スタンプ台には、「油性染料」、「油性顔料」、「水性染料」、「水性顔料」の4種類が使われます。
スタンプ台を使う印は、ゴム印が最も多く、ゴムは油に弱い性質があります。そのため、スタンプ台は油性のものよりも水性のものがよく使用されています。
油性顔料のみが使用されている朱肉は光や水に強く、印影の長期保存に適しています。しかし、スタンプ台に使われている成分は紙に染み込みやすいので長期保存に向きません。
特に水性のインクが使用されているスタンプ台を使った場合、水に濡れると成分が溶け出して滲んでしまいます。
色合いの違い
朱肉とスタンプ台は、色合いも異なります。どちらもよく利用する人が見れば、その差は一目瞭然なほど違いますが、あまり使い慣れない人から見ると、違いがわからないこともあるかもしれません。
朱肉は、長期保存に使う書類に押印することが多いため、重厚感のある朱赤色に近い色合いです。一方で朱色のスタンプ台は、朱肉よりもやや明るいオレンジになっています。高級感や重厚感が違うので、並べて押印してみるとわかりやすいでしょう。
朱肉とスタンプ台の両方を使って印鑑を押してみると、朱肉の場合は印面に色が付きやすく、スタンプ台だとかすれることもあります。朱肉は印鑑、スタンプ台はゴム印で使用することが想定されているので、スタンプ台の成分と印鑑の相性はあまり良くありません。
法的効力の違い
印鑑は、大切な書類や長期保存が必要な書類に押すことが多いです。法的に効力を持つ書類に押印することもあるでしょう。そのときに、朱肉とスタンプ台を間違えてしまうと、法的効力が失われてしまうおそれがあります。
スタンプ台に使われているインクは滲みやすく、紫外線や水にも弱いので長期保存の書類への押印に向いていません。
せっかく押印しても、滲んだりかすんだりしてしまっては、法的効力が低くなってしまいます。そのため、正式な書類や大切な書類には朱肉を使うのが望ましいでしょう。
朱肉とスタンプ台を間違えてしまったら?
大切な書類や長期保管する書類には、スタンプ台ではなく朱肉を使って印鑑を押すのが鉄則です。しかし、ゴム印や印鑑を複数使用するような書類を作成するときは、印鑑を押すときに朱肉とスタンプ台を間違えてしまうこともあるかもしれません。
印鑑自体を間違えていなくても、朱肉とスタンプ台を間違えて押してしまった場合はどうすれば良いのでしょうか。ここでは間違えてしまったときの対処法を紹介します。
間違えたときは押し直す
朱肉とスタンプ台を間違えて印を押してしまったときは、印鑑を押し直しましょう。
本来なら書類を書き直すのが最適ではありますが、先方から受け取った書類や、書き直しが不可能な書類もあるでしょう。そうした書類の場合は、間違えてしまった印に二重線を引いて、近くのスペースに押し直すことで訂正できます。
押し直す際には、最初に押した印に重ならない場所に押印することが大切です。一部分でも重ならないように、押しましょう。
また、万が一押す印鑑自体を間違えてしまった場合は上記のように二重線で消してしまうと不正を疑われるおそれがあります。印鑑自体を間違えてしまった場合は、間違えて押印した印から少しだけずらして重ねて押し、空いているスペースに正しい印を押し直しましょう。
合わせて読みたい
印材の劣化や変色に要注意
スタンプ台と朱肉を間違えて押印してしまった場合は、印材の劣化や変色に注意しましょう。印鑑とスタンプ台、ゴム印と朱肉はそれぞれ材質の相性が悪いため、間違えて押した場合は変化がないかどうか確認しましょう。
ゴム印に朱肉を使った場合は、ゴムが朱肉の油性顔料に溶けて劣化するおそれがあります。変形してしまうと、ゴム印の印影の特徴である「読みやすさ」や「視認性」を失う可能性も高いです。溶けていないかどうかを試し押しして確認しましょう。
逆に、印章にスタンプ台を使った場合は、印材が変色するおそれがあります。スタンプ台に含まれる染料は、粒が小さく印材に染み込んでしまいます。そのため、使用したときにインクが印材に染み込み、変色してしまうおそれがあります。
朱肉とスタンプ台は似ているように感じますが、用途や使われている材料、合う材質や合わない材質、印影の耐久性が異なるため、似て非なるものです。それぞれ用途に応じて使い分けましょう。
まとめ
朱肉とスタンプ台には、成分や色合い、法的効力などの違いがあります。状況に応じて使い分けなければ、正式な書類として使用できなくなったり、印材が劣化したりとトラブルにつながりかねません。それぞれの特性を正しく理解したうえで、適切な方法で押印しましょう。
朱肉を認印と一緒に持ち歩くなら、シュイングbebeがおすすめです。小さくて持ち運びやすく、使い勝手の良いアイテムとなっています。仕事はもちろんプライベートでも使用しやすいのでぜひお試しください。