公開日:2023.7.4 最終更新日:2024.11.1
法人が印鑑証明書を取得する方法は、法務局の窓口・郵送・オンラインの3つがあります。もちろん印鑑登録を行っていることが前提ですので、法人設立時は登記と同時に忘れずに登録するようにしましょう。また、印鑑証明書の取得には「印鑑カード」も必要となります。今回は、法人が印鑑証明書を取得する際に必要なものや手続き方法を詳しくご紹介します。
【前提】法人が印鑑証明書を取得するには印鑑登録が必要
前提として知っておくべき、法人が印鑑証明書を取得する際に必要な「印鑑登録」について解説します。登録手順、印鑑カードを取得する手順を知っておくことで、スムーズに手続きを進められます。
法務局に「印鑑届書」を提出する
法人の印鑑を登録する際は、法務局に「印鑑届書」を提出する必要があります。法人の設立登記と同時に登録するのが一般的です。
印鑑届書の提出時に持参するものは以下の通りです。
<届出に必要なもの>
- 会社実印(代表者印)
- 届出人の実印
- 3ヵ月以内に発行した届出人の印鑑証明書
法務局に備え付けられている印鑑届書に必要事項を記載し、上記のものとあわせて申請します。代表者本人が届け出る場合は印鑑提出者本人にチェックを入れ、本人の住所・氏名などを記入しますが、代理人が届け出る場合は、代理人の住所・氏名を記入します。その際、「委任状」と記載されている部分については、代表者本人の記入が必要です。
また、登録できる印鑑は1辺の長さが1cmから3cmの正方形である必要があります。これは商業登記規則第9条に定められているため、必ず守らなければいけません。さらに、印鑑は照合に適するものでなければならないとされています。印鑑作成業者に依頼して作成してもらったものであれば間違いないでしょう。
印鑑登録が済んだら「印鑑カード」を発行してもらう
印鑑登録が済んだら、次に印鑑カードの申請を行います。印鑑カードは会社設立時に必ず求められる手続きではないものの、法人の印鑑証明書を取得する際に必要となるため、忘れずに申請しておいてください。
「印鑑カード交付申請書」は印鑑届書とフォーマットが似ているため、同じように記入していけば問題ありません。代理人が申請する場合は、委任状欄への記入も忘れないようにしてください。提出後は数分〜数十分で印鑑カードが発行されます。
また、この印鑑カードの交付申請は郵送でも行えます。法務局のホームページに申請書があるため、そこから書類をダウンロードし、必要事項を記入し郵送してください。郵送で申請する場合は、返信用封筒や切手を同封する必要があります。
印鑑証明書を請求する際は、原則として代表者本人が手続きする必要があります。しかし、印鑑カードがあれば委任された代理人でも印鑑証明書を請求できるようになります。
法人の印鑑証明書の取得方法は3つ
続いて、法人の印鑑証明書の取得方法とそれぞれに必要なもの、手順を紹介します。事前にしっかりチェックし、スムーズに取得できるようにしておきましょう。
法務局で申請する
もっとも一般的なのが法務局の窓口に直接行って取得する方法です。印鑑登録の手続きや印鑑カードの発行は、法人の本店所在地を管轄する登記所でしかできませんが、印鑑証明書の発行は全国どこの法務局でも手続きできます。
従来は特定の法務局でしか手続きができませんでしたが、現在は会社の所在地に関係なく、どの法務局でも請求できるようになりました。
近くの法務局は、以下のホームページで確認できます。
法務局で申請する際に必要なもの
- 印鑑カード
- 印鑑証明書交付申請書
- 手数料(450円分の収入印紙)
法務局での申請の手順
- 「印鑑登録証明書交付申請書」に必要事項を記載
- 決められた手数料分の収入印紙を貼り付け
- 印鑑カードとともに法務局の窓口に提出
法務局内に証明書発行請求機があれば、申請書の記入を省略できる場合があります。詳しくは最寄りの法務局の窓口まで問い合わせてみてください。
郵送で申請する
前述したように、印鑑証明書の交付申請は郵送でも行えます。「印鑑証明書交付申請書」に必要事項を記載し、印鑑カードや返信用封筒などを同封して郵送します。
大事な印鑑カードを同封する必要があるため、機密情報保持の観点から、郵送の際はセキュリティに気をつけたいところです。書留や配達証明などのサービス、追跡できる宅配便などを利用するようにしてください。
郵送で申請する際に必要なもの
- 印鑑カード
- 印鑑証明書交付申請書
- 手数料(450円分の収入印紙)
- 郵送用の封筒と送料
- 返信用の封筒と郵便切手
郵送での申請の手順
- 法務局ホームページから印鑑証明書交付申請書を印刷
- 申請書を記入、収入印紙を貼り付け
- 申請書・印鑑カード・返信用封筒と切手を封筒に入れ、法務局に送付
オンラインで申請する
もっとも手軽に交付申請ができるのがオンライン申請です。オンラインで印鑑証明書の交付申請を行う場合は、前もって法人の電子証明書を取得しておく必要があります。電子証明書は発行に手数料がかかりますが、法務局に申請を行うことで交付されます。電子証明書を取得できていれば、「申請用総合ソフト」から印鑑証明書の交付申請を行うことが可能です。
初期設定として、ソフトのインストールや申請者情報の登録、電子署名をするために必要な電子証明書の取得をしておく必要がある点に注意しましょう。
オンラインで申請する際に必要なもの
- 電子証明書
- 印鑑カード(印鑑カード番号)
- 発行手数料(郵送の場合は410円、法務局の窓口で受け取る場合は390円)
オンラインでの申請の手順
- 申請用総合ソフトをパソコンにインストールし、申請者情報を登録(※初回のみ)
- 「申請書の作成を行う」ボタンから該当する項目を選択
- 印鑑提出者の資格・氏名・生年月日、印鑑カードの番号を記入
- 交付方法を選択
- 「処理状況の確認」の画面を立ち上げ、申請書に電子証明書の「署名付与」を行う
- 処理状況表示画面の「納付」ボタンから、インターネットバンキングで手数料を支払う
法人が印鑑証明書を取得する際の注意点
最後に、法人が印鑑証明書を取得する際の注意点を説明します。個人の印鑑証明書の取得とは異なる部分があるため、事前にチェックしておいてください。
法人はコンビニで印鑑証明書を取得できない
個人の印鑑証明書は、コンビニでマイナンバーカードや住民基本台帳カードを使って取得できます。一方、法人の印鑑証明書はコンビニでは取得できず、法務局への交付申請書の提出が必要です。
方法によって取得までにかかる時間が異なる
法人が印鑑証明書を取得する際は、その手続き方法によって、取得までにかかる時間が異なります。
法務局の窓口であれば数分〜数十分程度、郵送であれば書類を投函した日から3〜4日ほど、オンライン申請を行った場合は受け取り方によって取得できるまでの時間数が異なるのが一般的です。
さらに、法務局での窓口で申請をする際は、法務局の業務時間の間に行かなければなりません。平日8時30分〜17時15分までが受付時間となっており、土日祝日や年末年始は稼働していないため注意が必要です。
まとめ
要点さえ押さえていれば、印鑑証明書の取得はスムーズにできます。法務局の窓口のほかにも、郵送やオンラインで印鑑証明書の交付を申請することも可能です。オンライン申請を初めて行う場合は事前に電子証明書の発行手続きを済ませる必要があります。慣れない場合は時間がかかってしまう可能性もあるため、最初は時間に余裕を持って行うようにしてください。
なお、印鑑証明書の発行のためには印鑑カードが必要です。印鑑登録をする際は、印鑑カードの交付申請を忘れずに行ってください。