捺印はシヤチハタでも良い?シヤチハタを使えない場面を紹介

紙の書類に捺印箇所が指定してある場合、浸透印を押しても良いか迷うシーンもあるでしょう。浸透印は、朱肉や捺印マットが不要で手軽に押せる印鑑であることから、普段から持ち歩いている方も多いです。

今回は浸透印で捺印しても良いかどうかをはじめ、捺印と押印の違い一般的な印鑑との違いについて解説します。

捺印は浸透印でも大丈夫か

浸透印で捺印しても問題ない書類がある一方で、浸透印での捺印が禁止されている書類もあります。
そもそも「捺印」とは、直筆の署名と一緒に印鑑や判子を押すことです。
「署名捺印」が正式名称で、省略されて「捺印」と呼ばれています。

上記を前提に、まずは浸透印を使用できない書類の種類や印鑑登録の可否について確認しておきましょう。

公的な書類や契約書では使えない

浸透印が使えない書類の代表的なものとして、役所や税務署に提出する申込書や申請書、届出書などの公的な書類が挙げられます。

さらに、不動産契約書や借入契約書のような契約関係書類にも浸透印での捺印はできません。長期間の保管を要する議事録などにも、浸透印での捺印は不可とされています。

このように、長期保管義務のある書類や本人確認の必要がある書類においては浸透印を使えないことを覚えておきましょう。

印鑑登録できない

契約に関する書類や公的な重要書類のなかでは、印鑑登録されている「実印」を求められます。実印は、住民登録している市区町村の役所で印鑑登録された印鑑を指します。

大量生産されている浸透印では印鑑登録ができず、印鑑証明書を発行できません。実印は、1人につき1本しか登録できず、同じ印鑑が存在できない仕組みになっています。

また、金融機関での出納や保険や証券の契約時に使用する銀行印についても浸透印は登録できません。

浸透印が一部の捺印で使えない理由

ここからは、浸透印がなぜ公的な書類や契約書には使えないのか、印鑑登録できない詳しい理由をご紹介します。

判子の形が変わるため

浸透印は、「インク浸透印」という印鑑の種類です。印面にインクが浸み出す仕組みのため、一般的な印鑑のような硬い素材ではなく、ゴムなどを素材とした軟質多孔質(スポンジ)体で作られています。

印面に使用されている軟質スポンジ体は柔らかいため、捺印時の力加減ひとつで印面部が変形して判子の形が変わってしまうのです。

また、何度も繰り返し使用していけば、少しずつ印面部が摩耗変形し、購入直後とは異なる判子の形になってしまいます。

一般的な印鑑に使用されている、動物の牙や角、木材、金属と比較しても、浸透印 印面部の耐久性は低く、経年劣化で欠けや変形が生じることもあるでしょう。

力加減や劣化で判子の形が変わってしまう浸透印は、なんらかの証明に使用する印鑑としては不向きなことがわかります。

印影が消えるため

浸透印には、文字部から浸み出すように粒子が細かく浸透性が高いインクが内蔵されています。染料系インクなど浸透性の高く粒子形状が細かいものは、印影が経時とともに薄く消えてしまうことがあります。

全ての浸透印が当てはまるわけでは有りませんが、インクの種類や性能によっては年月とともに印影が薄くなっていき、最終的には消えてしまうことがります。1~2年の保管であれば問題ないかもしれませんが、公的な文書や契約書は、何十年も保管するケースもあるため、経時とともに消えやすい染料系インクを使用した押印は浸透印に限らず不向きなのです。

誰でも購入できるため

浸透印は、さまざまなメーカーが生産しているため、印章店だけでなく100均やホームセンターなどでも購入できる印章です。

印鑑には「同意した」「確認した」という意思表示をする証として捺印する目的があるので、人によって印面が異なっているのが望ましいとされています。

浸透印は、同じ印面が世の中にたくさん出回っているため敬遠されることも多いのです。

捺印と押印の違い

判子を押すときに「捺印」や「押印」という表現が使われるため、言葉それぞれに意味が違うのではないかと考える方も多いでしょう。

押印(おういん)の正式名称は「記名押印」で、自署以外の方法で名前を記載し、判子を押すという意味があります。例えば、代筆された名前や印刷された名前、ゴム印で押された名前などが該当します。

一方、捺印(なついん)の正式名称は「署名捺印」で、自署とともに押す判子を意味します。自署か自署以外かが押印と捺印の違いです。

もちろん、証拠能力の高さという観点では、自署が用いられる捺印が最も優れています。そのため、法的なことに関係する書類や契約書においては捺印表記が多いのです。出欠の可否を表明する書類や確認の判子を求める場合は押印が使用されます。

捺印のほうが古い言葉ともいわれていますが、押印も捺印も「判子を押す行動」という点では同じです。どちらの言葉が記載されていても、必ず印鑑が必要です。

浸透印と印鑑の違い

浸透印も印鑑の種類のひとつですが、印鑑といえば朱肉を使って押すものを想像するのではないでしょうか。

浸透印のようなインク浸透印と印鑑が別で呼ばれているのは、印鑑の特徴によって用途が分けられていることが理由です。最後に、浸透印と印鑑の違いを知っておきましょう。

浸透印とは

浸透印は「インク浸透印」と呼ばれる種類の印鑑で、インクが本体に内蔵されています。内蔵されているインクから、適量ずつゴム製の印面に浸み出す仕組みになっているため、スタンプ台や朱肉が必要ありません。

シヤチハタは商品の名前ではなくシヤチハタ株式会社というメーカー名です。シヤチハタ社が「朱肉のいらない印鑑」としてほかのメーカーに先駆けて販売し、有名になったため、メーカーにこだわらずインク浸透印すべてをシャチハタと呼ぶようになりました。

種類としては、苗字や名前が彫られている「ネーム印」のほかにも、支払済や見積書在中などの文字を押せる「事務印」、住所が繰り返し押せる「住所印」など、さまざまなものが販売されています。

なかでも、宅配の荷物を受け取る際や回覧板への確認など、簡単な認印として利用される「ネーム印」はよく利用されている種類です。

一口に「ネーム印」といっても商品ラインナップが豊富で、キャップの開閉が必要なく連続で使用できるキャップレスタイプをはじめ、ストラップが付けられており失くしにくいタイプや、ペンと一体になっているタイプなどから選べます。

浸透印はカラーバリエーションや柄なども数多く展開されているため、自分好みの見た目で選ぶことも可能です。

印鑑とは

印鑑には、住居地の市区町村に届け出をして登録する「実印」と、銀行に届け出をして登録する「銀行印」届け出をせずに使用する「認印」の3種類があります。

これらの印鑑は、木材をはじめ動物の牙や角、金属、樹脂など、硬くて丈夫な素材でできているのが一般的です。

とくに、実印や銀行印は、印面が欠けてしまうと使用できなくなるため、耐久性の高い素材を好んで選ぶ方が多いでしょう。

印鑑は素材によって安いものから高いものまでさまざまですが、認印には比較的安い価格帯のものを購入し、実印や銀行印は高くても一生使い続けられるものを選ぶ傾向にあります。

素材だけでなくサイズや質感、手彫りや機械彫りなど、さまざまなパターンの中から選べるので、用途に合った印鑑を選びましょう。

まとめ

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浸透印は印面が変形してしまうおそれがあるほか、実印や銀行印にできないことから、使用できる範囲は限られてしまいます。
とはいえ、宅配物受け取り時のサインのように、日常的な確認のシーンでは便利な判子です。
デザインや形状も豊富なラインナップで展開されているので、ひとつ持っておいて損はありません。