実印や銀行印をゴミ箱に捨てても良い?印鑑の正しい処分方法をご紹介

持っている印鑑が破損したり、新しい印鑑に作り替えたりする際に、印鑑をどのように捨てれば良いのかわからず困った経験はないでしょうか。不要になった印鑑を、そのままゴミ箱に捨てるのは危険です。今回は、印鑑を処分するときの手続き方法や注意点、捨て方についてご紹介します。

実印や銀行印を処分する前に必要な手続き

重要な契約を行う際に使用する実印や、銀行に登録する銀行印は、そのままゴミ箱に捨てると大きなトラブルに発展する恐れがあります。まずは、印鑑をそのまま捨ててはいけない理由と、処分する前に行う手続きについてみていきましょう。

印鑑をゴミ箱に捨ててはいけない理由

不要になった印鑑を、そのままゴミとして捨てると、悪用されるリスクがあります。とくに実印や銀行印は、悪用されると大きな被害に発展する場合があるため注意しましょう。

最も懸念されるケースとして、借金の連帯保証人にされてしまうという事例があります。実印と印鑑証明が揃えば、連帯保証人として立てられるので、知らない間に借金を肩代わりさせられるという恐ろしい被害を受けることもあります。

ほかの悪用事例では、勝手に自分の名義でローンを組まれたり、高額な商品を購入されたりといったケースもあります。こちらの悪用事例は、印鑑だけでなく身分証明書が必要になるため頻度としては珍しいものの、何らかの形で身分証明書が第三者の手に渡れば、被害を受ける確立は格段に上がります。

実印の捨て方と注意点

実印は、個人の場合は役所での印鑑登録、法人の場合は法務局に登録している印鑑です。公的に認められている重要な印鑑なので、処分前には手続きが必要です。

個人の場合

役所に印鑑登録されている実印を捨てる際には、先に役所へ出向き印鑑登録の廃止申請手続きを行います。

印鑑登録の廃止手続きでは、印鑑登録廃止申請書と印鑑登録をした印鑑、運転免許証などの身分証明書、印鑑登録証が必要です。

申請書は、役所の窓口でも入手できますが、役所のサイトからもダウンロードできるので、先に記入してから持ち込んでも良いでしょう。

自分で役所に行けない人は、代理人を立てての手続きも可能です。代理人に手続きしてもらう際には、代理人の認印と代理人選任届が別途必要となります。

法人の場合

法人の実印を捨てる際には、法務局に印鑑と印鑑カード廃止届書を提出し、印鑑の効力をなくす手続きが必要です。

法人の実印は、株券の発行や代表の変更、企業買収などにも利用する重要な印鑑であるため、過不足なく慎重に効力をなくす手続きをしましょう。

買い替えで古い印鑑を捨てる場合には、必ず新しい印鑑を準備してから廃止手続きを行います。古い印鑑の廃止手続きが完了したら、新しい印鑑を再登録する仕組みです。

印鑑の買い替えが生じた場合は、前述の手順で手続きすれば、古い実印で締結している契約も引き続き有効となります。

銀行印の捨て方と注意点

銀行印を捨てる際には、銀行で印鑑の変更手続きが必要です。古い印鑑と新しい印鑑、銀行口座の通帳を持参して、銀行の窓口に出向いて手続きを行います。

万が一、古い印鑑を先に処分してしまった場合には、手続きが複雑になり、2週間ほど口座が使えなくなることもあるため注意しましょう。

法人の銀行印を捨てる際には、未交換の手形や小切手がないかを確認します。未交換の手形や小切手があった場合、先に銀行印を処分してしまうと、交換できなくなり支払い義務だけが残ってしまうため注意してください。

印鑑を処分する方法

必要な手続きが終了したら、いよいよ印鑑の処分です。印鑑の処分の仕方は大きく分けて4つあり、それぞれ特徴が異なります。自分にあった方法で、古い印鑑を安全に処分しましょう。

自分で印面を削る

カッターで印面を削って、悪用されないようにしてから捨てる方法です。印面が残っていると悪用される恐れがあるため、複数ヶ所を削って捨てましょう。

ただし、印鑑に使用されている印材によっては、固すぎてカッターで削れない印鑑も存在します。例えば、チタン製の印鑑は、自分で印面を削るのが難しいため不向きです。

また、削る際は、刃物を使うことや力を入れないと削れないことから、慎重に作業しないとケガをする恐れもあります。

印面を削ったあとは、自治体のルールに従った区分でゴミとして捨てられますが、心配な方は、紙に包んで外から印鑑だとわからないようにしてから捨てましょう。

はんこ屋さんに処分を依頼する

自分で印鑑を処分するのが不安な方は、はんこ屋さんに処分を依頼するのもおすすめです。多くのはんこ屋さんでは、無料で印鑑の処分を行ってくれます。

実店舗があるはんこ屋さんであれば、まとめて神社での供養に出してくれる店舗もあり安心です。最近では、実店舗を持たないはんこ屋さんも存在しますが、送料さえ負担すれば処分してくれることもあるため、確認してみましょう。

神社で供養してもらう

長年大切に使用してきた印鑑や亡くなった人の印鑑を、そのまま捨てるのは心苦しいという方は、神社で供養してもらう方法がおすすめです。

印鑑供養に馴染みのない方もいますが、江戸時代から行われている歴史ある儀式で、感謝の気持ちを込めて処分する意味があります。

毎年10月1日は「印章の日」に定められており、この日に合わせて神社で「はんこ供養祭」が行われます。無料で供養してくれる神社も多いので、近くの神社に問い合わせてみてください。

印鑑はんこ屋さんで彫り直してもらう

高価な印鑑や家族の形見など、捨ててしまうのがもったいないと感じる場合は、彫り直しがおすすめです。

印鑑本体にヒビが入っていないことが条件になりますが、はんこ屋さんに依頼すれば彫り直して新たな印鑑にしてくれます。

牛角系の丈夫な素材であれば、おおむね彫り直しができるでしょう。木系の拓植材は、長年使用していたのであれば脆くなっている恐れもあります。

彫り直しを希望する場合は、素材のコンディションによって左右されるので、一度印鑑はんこ屋さんに相談してみてください。

三文判やネーム印の処分方法

実印や銀行印として登録していない三文判やネーム印の場合は、大きなトラブルに発展する心配がないため、そのままゴミとして捨てても問題ありません。

「もしかして過去に銀行印で使用していたかも…」と心配がある場合は、印面をカッターで削ったり、接着剤で塞いだりして捨てると良いでしょう。

捨てる際には、紙や布に巻いて外から印鑑と確認できないようにすると、より安心です。

材質によって、可燃ごみや不燃ごみなど分別が異なるため、自治体のルールと照らし合わせながら適切に処分してください。

使用しない印鑑を処分せずに保存する方法

不要になった印鑑でも、捨てたくないと考える方もいるでしょう。使わない印鑑をあえて処分せず、保管しておく選択肢もあります。

ただし、実印や銀行印として使用していた印鑑は、保管する場合も処分する前と同じ手続きを行ってください。廃止手続きを行わずに保管していると、万が一盗難された場合に、悪用される危険性が高まります。

廃止手続き後は、認印として再度使用することもできますが、印鑑ケースに入れ、人目につかない場所を選んで保管するのが安心です。

まとめ

三文判やネーム印であれば、そのままゴミ箱に捨てることもできますが、実印や銀行印は、悪用の危険性もあるため、正しい処分の仕方をしなければなりません。廃止手続きが完了したあと、自分で処分するのが不安な方は、はんこ屋さんや神社に依頼することもできるので、自分に合う処分方法を選択しましょう。