欠けてしまった印鑑をそのまま使える?対処法を紹介

丈夫な印鑑でも長年使っていたり、落としたり、保存状態が悪かったりすると、欠けてしまうことがあります。欠けた印鑑は、そのまま使い続けられるのか疑問に思う方もいるでしょう。今回は、使用用途別に欠けた印鑑が使えるのかをはじめ、新しく買い替えた場合の手続き方法や、欠けにくい印鑑の素材について解説します。

【使用用途別】欠けた印鑑は使い続けられる?

愛用している印鑑が欠けると、そのまま使い続けたい気持ちが勝ってしまうかもしれません。しかし、欠けた印鑑は、場合によっては効力を失ってしまい、意味のないものとなってしまうので注意が必要です。まずは、印鑑の使用用途別に、欠けた印鑑のまま使い続けられるのかをみていきましょう。

認印の場合

認印は、手続きや届け出が必要なく、誰でも購入した日から使用できる印鑑です。公的に登録されている印鑑ではないため、欠けたまま使用しても用途として支障をきたすことはありません。

ただし、使用するのがビジネスシーンである場合は注意が必要です。認印の目的は、使用者本人が確認の意志を他人へ証明するために使用するものなので、欠けていると相手にあまり良いイメージを持たれません。社会的信用という点では、欠けた認印を使用するのは推奨しにくいです。

また、欠けた印鑑は縁起が悪いともいわれています。運気が下がるとの見方もあるので、気になる人は、買い替えを検討しましょう。

銀行印の場合

銀行に届け出を出している銀行印は、縁の部分のみの欠けであれば、引き続き使用しても問題ないケースもあります。ただし、文字部分が欠けるとどこの金融機関であっても完全に使用できません。

縁の部分のわずかな欠けであっても、欠けが原因で均等に力が加わらず、文字部分まで徐々に欠けてくるので、早めの買い替えがおすすめです。

また、銀行印は、お金に関わるものなので、欠けた印鑑を使い続けるのは縁起が悪いという見方もあります。大切なお金を管理する意味がある印鑑なので、気持ち良く使用するために新しい印鑑を作り直す人も多いです。

実印の場合

印鑑登録をしている印鑑が少しでも欠けると、実印としての効力を失います。これは、印鑑証明の印影と現物が、欠けによって異なってしまうのが理由です。

実印として登録できる印鑑の規定は、各自治体によって決められており、印鑑の外枠が全体の20%以下の欠損であれば登録できるとしている自治体もあります。ただし、これは登録の際の条件であり、元々登録している印鑑が欠けても使えるという意味ではありません。

実印が欠けてしまったら、必ず新しい印鑑を準備し、再度登録し直す必要があるでしょう。

印鑑を新しくした場合は速やかに届け出る

実印や銀行印のように、届け出している印鑑を新しく作り直した場合は、速やかに手続きを行いましょう。手続き自体は、難しいものではありません。

銀行印の改印は簡単にできる

銀行印を新しくする場合は、自身が取引している金融機関へ出向き「改印手続き」を行います。銀行通帳と欠けた印鑑、新しく作り直した印鑑、運転免許証などの身分証明書を持参すれば、スムーズに手続き可能です。

欠けた印鑑は、手続きが終了するまで、処分しないように注意しましょう。万が一、欠けた印鑑を処分したり、紛失してしまったりした場合は、その旨を金融機関に申し出ることで手続きできます。手続きに、少し時間がかかってしまう可能性があることを覚えておきましょう。

実印の変更は居住している自治体で行う

実印を新しくする場合は、市区町村の自治体の窓口で「印鑑登録の変更」を行います。一般的には、印鑑登録廃止手続きを行ったあと、新しい印鑑を印鑑登録申請する手順です。

印鑑登録廃止手続きでは、元々登録していた印鑑登録を抹消します。運転免許証などの身分証明書と登録済みの実印、印鑑証明証カードを持参して手続きしてください。

新しい印鑑を実印として登録する際には、新たに登録する印鑑と顔写真付きの身分証明書があれば手続き可能です。登録費用として、100円~300円程度の手数料が発生します。

各自治体によって印鑑登録の規定は異なり、変更手続きにも違いがあるので、まずは管轄の窓口に問い合わせてみましょう。

また、これらの手続きは、代理人選任届があれば代理人が届け出ることも可能です。ただし、代理人を通して手続きした場合は、即日登録はできないので注意してください。

印鑑登録の変更手続きで気になるのが、印鑑登録されていた元の印鑑の効力です。欠けた実印の印鑑登録を抹消すると、過去の契約の効力も無効化されてしまうのではないかと心配になる人もいるでしょう。

実印を変更しても、過去の契約そのものに影響はありません。過去の契約時には、印鑑登録されていた実印で正式な契約が取り交わされているため、抹消しても効力は持続するのです。

しかし、一部のローン会社では、実印の変更があった場合は、ローン会社にも変更を申請する規定を設けているところもあります。万が一のトラブルを避けるためにも、過去に実印を使った契約をした際には、確認しておくと安心です。

欠けにくい印鑑の素材とは

印鑑が欠けた経験があれば、また面倒な手続きをしたくないと思う人も多いのではないでしょうか。再手続きは意外と簡単にできるものの、時間を確保して出向く必要があり、できれば同じ経験をしたくないと思う人が大半です。

木製や石製の印鑑には、さまざまな色や質感があるため、好みの印鑑を探しやすいですが、欠けやすい特性を持っています。

ここからは、欠けにくい素材の印鑑をご紹介します。

最も欠けにくいのはチタン素材

従来では、比較的欠けにくい印材として、象牙や水牛の角のような動物系の印材が主流でした。近年では、動物系の印材よりもさらに欠けにくく丈夫な印材として、チタン素材の印鑑が注目されています。

チタン素材といっても、国産チタンをはじめ、ブラックチタンやゴールドチタンなど、さまざまな種類があり、見た目や質感、耐久性が異なるのです。

人と違った個性を出したいという場合は、特殊技術で色を出したカラーチタンや、カーボンを巻いたカーボンチタン、宝石を埋め込んだチタンなどを選ぶと良いでしょう。

チタン素材の印鑑のメリットは、なんといっても耐久性が高いことです。欠けにくいのはもちろん、印面の擦り減りもほぼ見られません。また、朱肉の乗りが良く均一に付着するため、美しい印影を残すことにも優れています。

さらに、細かな手入れが不要な点も大きなメリットといえるでしょう。木製や動物系の印材は、湿気や乾燥に弱く、保存や使用後の手入れに気を使う必要があります。

チタン素材の印鑑は、湿気や乾燥の影響をほぼ受けないため、使用後に印面を優しく拭き取るだけで長く使用できます。汚れの付着が激しい場合は、歯ブラシで擦りながらの水洗いも可能です。高温にも強く、万が一、火事が起きた際にも焼失しにくいでしょう。

デメリットは、一般的な印材と比較して重いことです。チタンは金属なので、鉄ほど重くはないものの、ずっしりとした重量感があります。ただ、この重量感があるからこそ、軽く押すだけできれいな印影が出せるという見方もあります。

もうひとつのデメリットは、値段が少し高いことです。チタンの種類やサイズ、使用用途によって値段は変動しますが、安いものでも16,500円以上の価格帯です。

とはいえ、耐久性が高く、ほぼ買い替えの必要がないことを踏まえ、長期的に考えれば、価格に見合う価値があります。

朱肉(油分)の影響を受けにくいのは象牙や黒水牛

チタン素材以外に、欠けにくいのは、象牙や黒水牛など動物系の印材です。朱肉に含まれる油分の影響を受けにくく、適切な保存とメンテナンスを行えば、長期間使用できます。

黒水牛の場合は、乾燥しやすく虫食いも起きるため、とくに定期的なメンテナンスは必須です。頻繁にメンテナンスできる自信がない場合は、黒水牛よりも耐久性に優れた象牙をおすすめします

逆に、油分の影響を受けやすいのは木製の印材です。価格が比較的安いものが多く、購入しやすいのが特徴です。しかし、使用後丁寧に印面を拭いていても、何度も使用すると欠けやすくなってしまうのです。

まとめ

認印であれば、欠けたまま使用しても問題ないとされていますが、登録されている実印や銀行印は、再度手続きが必要です。

手続きは、窓口まで出向いて行う必要があるため、面倒と感じる人も多いでしょう。印鑑を購入する際には、デザインや見た目の好みだけでなく、耐久性が高く欠けにくい印鑑を選んでみるのもおすすめです。