会社設立で必要になる印鑑|種類や選び方・購入方法は?

会社を設立するときには、印鑑が必要です。しかし、会社で使用する印鑑には会社実印や銀行印など複数あり、どの印鑑を用意すれば良いのかわからない方も多いのではないでしょうか。

今回は会社設立の際に必要になる印鑑の種類や選び方、購入方法について紹介します。

会社設立で必要になる印鑑の種類

会社で使われる印鑑にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは会社設立の際に必要な印鑑の種類を紹介します。

会社実印(代表者印)

会社実印は、会社の印鑑証明用の印鑑です。契約や不動産取引、株式取引など会社にとって重要な場面で使用されることが多く、普段はあまり使用されません。

起業する際には、印鑑届書を法務局に提出し、登録するのが一般的です。以前は必須でしたが、最近では法改正により任意になりました。

すでに印鑑登録をしている企業の場合は、慣習からか、社名変更時に印鑑を登記することも多くあります。印鑑証明は契約や申し込みなどのときに求められることもあるため、持っておくと運営がスムーズにいくこともあります。

印影は、1辺の長さが1cm以上、3cm以内と決められているため、規定に則ったサイズのものを作成する必要があります。

銀行印

銀行印は銀行口座を開設するときに必要な印鑑です。会社実印と銀行印を併用することもできますが、紛失や悪用のリスクを考えれば、専用の印鑑を作った方が良いでしょう。

銀行印はお金の出し入れに必要な印鑑なので、紛失や悪用のリスクがないように選びましょう。

角印

角印は、請求書や発注書などに捺印する四角形の印鑑で「社印」とも呼ばれます。会社を登記する際に作成する方が多くいます。

最近では、請求書がデータ化されていることもあり、角印そのものを作成せずに、印影のデータだけを作成して、印鑑を電子化している方もいます。

請求書には角印を押さなければならないという決まりはありません。実際に、角印の代わりに会社実印を押す方もいます。

しかし、請求書は基本的に毎月各取引先に対して発行するもので、使用頻度が高いため、他人の目によく触れる印鑑に会社実印を使うべきではないという考えもあります。

ゴム印(住所判)

ゴム印(住所判)は事務作業の効率化のために使用される印鑑で、会社名、代表者名、住所、電話番号などが記載されているものです。

すべての項目がひとつになっているパターンもありますが、それぞれの項目に分けて作成し、使用場面に応じて組み合わせを変えて使用するパターンもあります。

ゴム印(住所判)は「小切手判」ともいわれ、小切手に押すために必須でした。最近では、飲食店などで、領収書に押すために使われることが多いです。

ゴム印(住所判)は会社設立に必須ではありませんが、必要な項目を自身で書く手間を考えると、何枚も書類を作成する場合には効率的といえます。

【会社設立用】印鑑の選び方

会社設立で使う印鑑はどのように選べば良いのでしょうか。サイズや書体、素材など選ぶ要素はたくさんあります。ここでは、会社設立で使う印鑑の選び方を紹介します。

サイズ

会社実印は、直径18mmや21mmの丸印が多い傾向にあります。銀行印はそれよりも一回り小さく作ることが多いです。

それぞれの印鑑の大きさとしては、角印が一番大きく、次に会社実印、その次に銀行印の順で作成するのが一般的です。

見分けがつきやすいようにバランスが良い大きさで作成しましょう。

書体

印鑑の書体には、篆書体(てんしょたい)、吉相体(きっそうたい)、古印体(こいんたい)などがあります。よく使われるのは、篆書体(てんしょたい)と吉相体(きっそうたい)です。

篆書体は、日本銀行券(日本のお札)にも使われている書体で、判読しにくく、偽装もされにくいといわれています。

吉相体は、枠と文字が接している部分が多い書体なので、印影が欠けにくいです。可読性も低く、会社実印にも銀行印にも向いています。

古印体は読みやすい書体なので、日常的に使用する印鑑に使われることが多々あります。重要な書類に押すことが多い会社実印や銀行印などにはあまり使われません。

他社と重複したり、複製されたりするのを防ぐためにも、会社実印や銀行印には基本的に可読性の低い書体が用いられます。可読性が高い書体を使用すると、悪用されるおそれもあるので、注意しましょう。

会社実印の印影は一般的に二重の円になっていて、外丸に会社名、内丸に役職名が入ります。より複雑な印影にするためには、外丸を篆書体にして内丸を古印体にするなど、外丸と内丸で書体を変えるのもおすすめです。

素材

印鑑の素材もさまざまなものがあります。色や素材は好みで選んでも問題ありませんが、なるべく耐久性の高いものがおすすめです。一般的には、柘(つげ)や黒水牛、チタンなどが選ばれています。

柘(つげ)

柘は耐久性は低めですが、価格がリーズナブルなので人気です。印鑑にこだわりがない人は柘を選ぶ人も多いので、とにかく開業資金をできるだけ抑えたいという人は柘を選ぶと良いでしょう。

黒水牛

黒水牛は柘よりも耐久性が高く、高級素材ではありますが比較的安価です。ショップによっては、純天然黒水牛を扱っており、この世に二つとない特別な印鑑を作ることも可能です。

チタン

チタンは、比較的新しい素材です。値段は高いものの、メンテナンスなしで長期間使用できます。使用回数による摩耗もなく、金属で重厚感もあるので、しっかりとした印鑑が作りたい人はチタンを選ぶと良いでしょう。

象牙

象牙も印鑑の素材として人気がありますが、生物保護の背景から使用を避ける動きもあり、希少価値がかなり高まっています。近年では、象牙に代わる素材として、マンモスの化石を扱っている会社も増加しています。

彩樺(さいか)

彩樺(さいか)は「アグニ」とも呼ばれ、柘と同じくリーズナブルな素材です。軽くて扱いやすいのが特徴です。また、素材に個性を出したい人は彩樺を選ぶケースがあります。木目が美しい素材なので、見た目重視の人にもおすすめです。

オランダ水牛

オランダ水牛も昔からの印材として有名で人気があります。茶色い柄が多いものと無地に近い白色の2つのランクが存在しており、茶色が少ないほど高級な素材です。模様がひとつひとつ違うので、好みの模様のものを選ぶと良いでしょう。

会社設立に必要な印鑑を購入するなら

会社設立のときに必要な印鑑はどのように手に入れれば良いのでしょうか。購入する方法としては、インターネット通販と店頭での注文が考えられます。どちらもオーダーメイドになるため、印鑑ができるまでに時間を要するので注意しましょう。

インターネットでの購入は便利ですが、会社に関連する印鑑は長く使うものなので、実際に目で見たり、サンプルを触ったりして確かめた方がより安心です。予算や書体などの相談もできるため、店頭での注文が良いでしょう。

一つひとつ違うものをオーダーすることもできますが、法人用の印鑑をセット売りしているところもあります。使用頻度にかかわらず使用するものなので、一式セットで購入しておくこともおすすめです。

まとめ

会社設立のときに作成する印鑑にはさまざまな種類があります。用途によって印鑑も違うため、会社実印、銀行印、角印、ゴム印などの印鑑を用意しておくと良いでしょう。

印鑑の素材や書体にこだわるのもおすすめです。書体はもちろん、素材にも個性を出すことができるので、好きなものを選びましょう。

会社設立に必要な印鑑は一式セットで購入するのがおすすめです。長く使うものなので自分の目で確かめて選びましょう。