あなたの知らない回転印

回転印をご存知でしょうか?
文字通り、印字部(印面)を回転させて使うスタンプです。

何を今更とお思いの方も多いかと思いますが、実は奥が深いアイテムだったのです。
知れば納得! 回転印について解説していきたいと思います。

回転印の基本

回転印は文字駒が連なったベルト状の「帯」があり、その文字駒を印字するため整列させる台となる「橋」が必要です。帯を一駒毎に回転させる「歯車」と、それを維持固定するための「芯棒」、これらすべてを保持する「胴」が基本構造となります。
更に、手に持って使用しやすいようにする「柄」や、芯棒が抜け落ちないように両端をカバーする「カブセ」が付いています。

ひとことに回転印と言っても、数字のコードや日付など用途に応じて「帯」の本数が様々な種類が存在します。「帯の本数」のことを『連(れん)』と呼びます。一般的な日付回転印は【年・年・月・日・日】という5本の帯で構成されています。このような場合、「5連」といいます。

また、文字サイズも用途に応じていろいろあります。書類に使用するに当たり、文字の高さが5mmほどの「3号」日付印がよく使われています。ダンボールの側面に大きく表記するために文字高さ16mmほどの「特大号」なども見かけます。

上記で例に出しました「文字の高さが5mmほど、5本帯の日付回転印」の事は「3号5連 日付印」という呼称になります。

帯ゴムについて

回転印の帯に使用するゴムにも用途に応じて選択することができます。
通常の紙面に使用するなら「赤色」や「緑色」のゴムをおすすめします。連続捺印をするなら「浸透ゴム」を選択することもできます。
プラスチックやガラスなど非吸収面用に対応した多用途インクを使用する場合は、「耐油ゴム(黒色)」を選択してください。「赤色」や「緑色」のゴムで多用途インクを使用するとインクの溶剤に冒されて膨潤や破損が生じる恐れがあります。

帯のゴム色が異なることで、見た目も大きく変化します。最適なゴムを選んでくださいね。

また、それぞれの帯を「橋」の上に整列したときに高さがバラバラだと均一でキレイな印影を得ることができません。リング状になった全ての帯に対して、どの文字駒でも高さが均一に揃えて製造する必要があります。
簡単そうに思えるかもしれませんが、熟練の技術が必要で回転印の重要な要素のひとつになります。

回転印の種類について

回転印、どのくらいの種類があるのでしょうか? 
一般的な既製回転印の種類と用途をご紹介していきたいと思います。

日付印

普段の生活でもよく目にすることができる【年.月.日】がスタンプできる回転印です。
一般的には【年・年・月・日・日】の5連で構成されていますが、【年】が1連で『2022.』のように帯幅が広い4連日付も人気です。

飛日付

帯構成は上記日付印と大きく変わりはないのですが、【  年  月  日】と既に印刷されている小切手や手形などの用紙に対応するため文字駒の間隔が広く取られた回転印です。
回転印の文字サイズによって空白部のサイズも変わりますので、使用目的の用紙に適した飛日付を選ぶことができます。

和文日付

日付印の文字駒に『令和』や『5月』などが配されており、和暦表記ができる回転印です。
寺院などで使用されるすべて漢字で表記する和文日付という商品もあります。

欧文連物

ナンバーリングや金額など数字が並んだ表記が複数並んだ表示ができる回転印です。
数字帯の並びは4連・6連・8連・10連・12連と多くのラインナップがあり、用途に応じて選択することができます。
また、使用しない箇所を「空白駒」にすることで3連や7連のような印字もできます。簡易の飛日付のような使い方も可能です。

特殊連物

いままでご紹介してきた回転印の文字は、数字がメインでした。特殊連物は、数字以外の文字が入った回転印になります。
例えば、アルファベット26字が1本の帯に入った「英欧文」や、紡績の原材料名と配合率を押印できる「紡績用」などがあります。

別製回転印について

このような回転印ですが、どのくらいの種類があるのでしょうか?
答えはありません…無限に存在します。
欲しい回転印が見つからなければ、特注で1個から製作することができるからです!

既製回転印の文字列に少しだけ変更を加えたい、完全にオリジナルの回転印を新たにデザインすることも可能です。製造番号の捺印、物品の管理、日付や記号を組み合わせたものなど、用途に合わせて製作することができます。
その一例をご案内させていただきます。

製作可能な 文字サイズ/書体/帯本数

回転印の別製・オーダーメイドとして一番多いのが、帯内容を使用シーンに合わせて変更する内容です。一つ一つ熟練の職人の手により製作しているので、帯一本の幅や内容も自由に指定できます。

それぞれの帯ごとに文字数の上限は特にありません。文字のサイズ、書体・フォントも多くの選択肢から選択することが可能です。帯の幅が長くなると、歯車の回転だけでは変更することが困難になる場合があります。そのような場合は、胴の外部に『蝶ネジ』を出して操作しやすくすることも可能です。

蝶ネジ仕様

多段式

食品の外装に「製造日」と「賞味期限日」など別々の日付を繰り返し押印する必要がある場合…どうしましょう? 
日付回転印を2個用意して都度持ち直して押印する方法もありますが、複数個の回転印を1つにまとめることも可能です!

3段式

また、回転印とは別にゴム印をセットにした構成も可能です。
「住所印」と「回転印」を合わせたり、コード印の「固定部」をゴム印にして「変更部」を回転印にするといった構成もできます。

二段/三段式の回転印では、上下の列に帯が回転するための隙間が必要になります。この隙間を狭めることはできません。
どうしても間隔を小さくしたい場合、「差込スタンプ」併用することで隙間を狭くすることができます。
「差込スタンプ」とは、やや厚みのある「差込駒」をピンセット等でつまんで専用の溝に差し入れて使用するゴム印です。歯車構造などが不要なため省スペースで可変式のゴム印を用意することができます。

一行回転印+差込スタンプ

ストッパー

回転印を連続で使用すると捺印時の振動で微妙なズレを生じることがあります。また、意図せず歯車に触れて印字内容が変わることも考えられます。
このようなことが起きないように帯を固定する「ストッパー」を設置することができます。印字部に近い箇所の帯全体を覆うようにホールドすることで、帯が不用意に動くことができなくなるので安心して使用することができるようになります。

ストッパー付き

乙式

シンプルな回転印以外にも、データー印型で固定印字部と合わせた別製品も製作可能です。
固定印字部を貼付した印面枠はヒンジ式になっており、オープンした状態で回転印の帯を変更させることができます。この開閉時のツマミ部が『乙』の字形に似ていることから「乙式」と呼ばれていると思われます。

乙式

別製データー

データー印も別製品が製作できます。回転印同様に帯の内容が自由に変更できます。
通常の日付印は固定印字面の中央に窓があり日付部が入るデザインですが、窓位置も自由に設定できます。

ローラータイプ

印面ゴムを筒に貼付して、インクが染み込んだパットと一緒に紙面を転がすと連続的に押印することができるローラー式も別製品として作成可能です。

別製品というだけあって、本当に多くの仕様を選択することができます。

どのような仕様が最適なのか? 特に初めて別製品を作るときは特にわからないことだらけだと思います。
そんなときは、製造メーカーに希望を伝えればオススメの仕様を提案してもらうこともできます。

あなたの現場に最適な回転印を作ってみてはいかがですか?